カブツー 孤立民家 上野原 アゲイン

真冬並みの寒さから一転、土日はポカポカ陽気の予報が出た。
断念した超弧絶民家だが、駄目元でもう一度トライしてみることにした。
結論から先に言うと結局辿り着くことは叶わなかったのだが。

棡原集落手前で見つけた古民家。

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トタンで覆われているが、まぎれもなく萱葺きである。
ここらの民家にたいてい貼ってある御札。

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庭先でネット袋いっぱいの銀杏の実を、水道で洗っていた家主さんから聞いたところによると、この家は築150年以上になるそうな。
柱や梁は栗の木を使っているという。
そもそも秋に林道や田舎道を走っていれば、道端にイガイガを撒き散らしてバイクの通行の邪魔をし、この時とばかりに存在を主張するあの栗の木が、柱や梁を切り出すほどの大木に成長するのかという疑問が残るが、昔はそんな大木があったのだろう。
『日本書紀』には筑紫の国に長さ九百七十丈のクヌギの大木云々という記述がある。
一丈を3メートルとして計算すると2910メートルの超大木である。
『今昔物語』には近江国の根回り五百尋(ひろ)に及ぶ栗の大木の記述がある。
五百尋といえば約750メートルである。
これは神話や伝説の世界だが、かつては日本のあちこちの山中に途轍もない巨木があったことは事実なのだろう
栗の木で家の一軒くらい建ったって驚くことはないのかもしれない。
萱葺きの維持にはかなりの大金が掛かるらしいことは知ってはいたが、この家では福島から職人を呼び、片側の葺き替えだけで一ヶ月を要したとか。
その間の宿泊費も当然負担することになる。
やむなくトタンで覆ってしまえば傷みは早まる。
この家も、この家主さんの代で終わる。
家主さんはそう言って淋しそうに視線を落とし、銀杏の実を洗う作業に戻った。

お婆ちゃん家の近くにカブを停め、ここからいよいよ歩きである。
この日、庭にお婆ちゃんの姿はなかった。

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胸ポケットの携帯ラジオから聴いたことも無い歌謡曲を流しながら進む。
予期せぬ分岐が現れた。

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おいおい、マジかよである。
私はてっきり弧絶民家まで一本道が続くものと思い込んでいた。
ここへ来てY路とな。
かつて山で需要があったころの名残りなのだろう。
樹木の張り紙は狩猟罠に注意とある。
ここで当初の戦意が私の内部で一気に半減したようだ。
まあ、試しに左へ向かう。

大丈夫かこの橋。

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苔むした木橋が登場した。
これは誰だって渡ることを躊躇するだろう。
谷川に落下すれば死ぬことはないにしても骨折くらいはするかもしれない。
恐る恐る一歩づつ慎重に渡った。
だが、道は登り勾配になった先でほぼ消滅していた。

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引き返してもう一本の道を辿った。

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ここもご同様に先で一部が削れていた。
足を滑らせれば谷川へ転落するだろう。
子供たちが通っていた道とはどっちなのだろう。
確認しようにもお婆ちゃんはいない。
それにしても登山道などとは違い、ほとんど人がはいることのない山が、これほど自分を萎縮させるものとは思いもしなかった。
誰かに見られているようなとか、なにか気配を感じるといったことではないが、山自体が一つの生命体であり、入り込んだ私は人間で言えばウィルスのような、まるで私は排除されるべき異質と感じた。
山歩きさえろくにしたことのない軟弱物の私が入り込んではいけない世界なのではなかろうか。
こんな山奥で子供6人も育てた家とはどんな所なのか。
もっと情報を仕入れて、しっかり対策を立てて再再度の挑戦を試みてみたいものだ。
2度ばかり用事があって行ったことがあると言っていたあのお婆ちゃんに、また会えるだろうか。
まさか道案内を頼むわけにはいかないだろうなあ。
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