寒かろうとは予想していたが、

それ以上に精進湖は寒かった。
夕方到着したのだが、これまた予想に反して、キャンパー2組とソロで車泊のオヤジ2名。
オヤジ2名はネンキングラッシーと思われる。
ま、それはいいとして、富士山にフロントを向けて湖畔に停車した車の助手席から白煙が出ていた。
おそらく焼肉でもしているのだろう。
それにしても、狭い乗用車の車内でしなくても、これだけ広くてあまり人もいないのだから大っぴらに外でやればよさそうに思うが。
よほど照れ屋なのか面倒臭がりなのか。
今夜は焼肉臭い車内で寝るのか。
なんともユニークなオヤジ1名であった。

暖を取るためパタパタと炭火を熾しているうちに、富士に向かって左手の山の稜線の向こうから待望の月が出た。
ずっと曇り空だったので今夜は駄目かと諦めかけていたのだが。
雲の切れ間が通り過ぎる度に月がひょっこり顔を出す。
まるで意識のある生き物のように、あたかも月自体が雲の間を縫ってひょこひょこと顔を覗かせているような錯覚におちいる。
酔った勢いもあって、月が現れる度に「あ、また出た」と笑ってしまう上機嫌な私がいた。

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しかし、ここまで寒いと炭火ではそろそろ限界がある。
やはり焚き火の盛大な火力が必要な季節になったようだ。
しかたなく寝袋を出してきてすっぽり納まり、椅子に腰掛けてビールを飲みながら月を眺め続けた。
ここまで飽きさせない月も珍しい。
スマホでフライミートーザムーンを検索してみると最初に新世紀エブァンゲリオンとやらが出てきた。
試しに聞いてみたらカワイイ系のなかなかの美声であった。
気に入って名曲を何回かリピートしながら、ビールを飲みつつ寝袋にぬくぬくと包まって名月を眺めた。
自分的には最高に贅沢な時間であった。
世の中、一流の温泉旅館で露天風呂からこの月を眺めている人もいるのだろうが。
私なんかこれで充分過ぎる。
ちと寒かったが、静かで長くていい夜だった。
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あったらいいなと思っていた

インナーラックがやっぱりあった(知らなかったのは私だけ)。
通販で購入して取り付けた。
世間はシルバーウィークで、どうせどこへ行っても人だらけだろうから出かけないことにした。
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膝とのクリアランスも問題なし。
4ヶ所の取り付けビスにそれぞれ緩衝材のワッシャが付属していて、国産品のような配慮だ。
気になるような微妙な隙間の狂いもない。
社外品にはありがちな取り付け位置のずれもなく、曲げ修正や力技を強いられることもなくすんなり作業が完了した。
レッグシールドに6ミリの穴を開ける必要があるが、これを嫌う人もいるようだが、私は躊躇うことなくドリルで穴を開けた。
取り説ではレッグシールドの袋ナットは外側につけるようになっているが、それだと乳首が出ているようでちょっと気恥ずかしいので内側に変更した。
使い勝手はかなり良さそうである。

下仁田ツーリングの燃費を記録しておく。
給油は2回。
行きは299号線沿いのセルフのスタンドで。
燃費64キロ。
帰りは道の駅甲斐大和手前の小さなスタンドで。
燃費65キロ。
実に安定した燃費で立派なものである。
やはり燃料ポンプのリコールに応じる必要はなかったな。
正解だった。

世間がシルバーウィークとやらではなかったら、今頃は山梨か秩父の道の駅かキャンプ場にいただろうに。

キャンプ愛好家にあの音を聞かせることが

出来たなら、10人中10人が、迷うことなくペグを打ち込む音だと答えるだろう。

野栗食品で料金を払い、食料調達のため狭い店内をくまなく捜索するも、これといった食材がない。
手頃なところで焼肉にするなら肉類はあるし野菜も焼肉のタレも販売しているのだが、肉はあまり食べなくなったのでさて、困った。
結局、一つだけ残っていた宇都宮野菜餃子とピーナッツ入りの柿の種、それと4本束になった魚肉ソーセージ。
前回と殆ど変わらない。
さすがに自分でも呆れるというか、情けないというか、笑っちゃうというか。
それからまた歩いて酒屋でのどごし生1パック。
レジの置いてあるテーブルの上に炊き込みご飯が3パック。
これなんですかと聞いて、ちょっと触ったらまだ暖かい。
「松茸ご飯、香りだけ」と店のオバちゃん。
え、これ売り物?
うーん、違うのよ。
違うのよの前のうーんは、どういう意味なのか。
黒沢住宅のお婆ちゃんに松茸の話しを聞いたばかりなのに、ここで松茸ご飯の登場とは。
しかし、見るからに美味そうな。
ここでオバちゃんは忘れているかもしれないが、ペットボトルの氷のことを話して、あとは拝み倒すなりなんなりすれば1パック別に用意してくれたかもしれないなと後でちょっと悔やんだ。
当然ボッタクリは覚悟の上でだが。
惜しいことをしたかもしれない。

ビールと食料を調達してキャンプ場にもどり、東屋の中の長椅子に腰掛け、さっそく柿の種をつまみにビールを飲みながら、持ってきたポケットラジオの電源を入れるが、電波が入らない。
AMも駄目、FMも駄目。
これにはさすがにガックリきた。
こうなったらもうヤケ気味で、カブから荷物を降ろすと、テントを張る前に餃子と魚肉ソーセージで夕飯にした。
あとは酔っぱらってテントを組み立て、もぐり込むだけである。
何時ごろ眠りに落ちたか定かでないが、耳元近くでジジジッジジジッというかすかな音で眼が覚めた。
スマホのランプが点滅していた。
アプリ更新の知らせが届いていた。
一時的に繫がったのだろう。
時刻は午前3時15分だった。
眠る前に試したときはまったく駄目だったのだが。
スマホの画面を落として、さてもう一眠りというその時だった。
カチンカチンカチンカチン。
すぐ近くで何の前触れもなく、まさに突然、打撃音が私の耳に飛び込んできた。
誰だろう、こんな夜中に。
少し間を置いてまたカチンカチンカチンカチン。
誰かペグを打ち込んでいるやつがいる。
それも経験があれば分かると思うが、ハンマーではなく、手頃な石でもって金属のペグを打ち込む、それに酷似した音がする。
私はてっきり、道に迷うか、途中何らかのアクシデントがあってようやくここへ辿り着いたキャンパーが、東屋で寝ようとしたら私が先客だったので、しかたなくテントを設置しているのかと思った。
それにしても、離れた場所ならいくらでもあるだろうに、なぜこんな近くでと腹が立ったが、どうも様子がおかしい。
まず、クルマかバイクで来たのならライトの明かりとエンジン音で必ず眼が覚めるはずだ。
それに歩き回る足音や気配がまったくしない。
移動していれば私のテントを照らすかよぎるはずの照明の光もない。
ただ、タイミング、間隔ともにペグ打ちに酷似した音が4,5回断続的に聞こえてふいに途絶え静かになった。
その間、私は懐中電灯を手に外に出るか迷った。
もし相手がいれば安眠を妨害された苦情の一つも言いたくなるだろう。
だが、相手がこの世のものでなかったら。
状況があまりにも異常すぎた。
こんなことも考えた。
ここを目指したツーリングライダーが途中、不慮の事故死を遂げ、それでもここへ来てテントを張ったのだろうかとか。
ひょっとして、私は今ヤバイ立場にあるのだろうか。
思い切って外に出て音の正体を確かめるべきか。
さあ、どうする?
迷った末に私の下した結論は?
面倒くせー、寝ちまえ、であった。
たとえいやな仕事であっても毎日休まず働き、悪い事はせず自分の稼ぎの範囲内でまっとうに暮らしている人間がこの世で一番偉いのである。
そしてようやく巡ってきた貴重な休日を、何者にせよ邪魔されたらたまらないのである。
冗談じゃない。
私は寝させていただく。
カチンカチンでもなんでも勝手にやってろ。
次に眼が覚めたときはテントの周囲は明るくなっていた。
時刻は5時15分。
早速テントから這い出し、あたりを見回す。
当然のごとくなにも変化はない。
キャンプ場全体を見て廻ったが誰もいないしテントも、もちろんない。
となると突然起きたあの音はいったいなんだったのだろうか。
あれから数日経ったが、今でも疑問が晴れない。
野栗キャンプ場は人気のあるキャンプ場なので、まさかとは思うが。

何事もなかったかのように出発準備完了。
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帰り着くまで天気よ、持ってくれ。
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クマと遭遇したのはこの辺りだったか。
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あいつも今年は豊作だという栗を食べてるかなあ。





時に霖(ながあめ)ふる

待望は切望に変わり、ようやく天候が回復し、またすぐ崩れるらしいその間に与えられたギリ2日間。
そりゃ行くでしょ。
という訳で下仁田駅前。
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駅の目の前にある建物。
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旅館にしては部屋数が少なそうだし、かつては食堂だったのだろうか。

下仁田は思ったよりも小ぢんまりとした町で、見所はあまりなかった。
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よく紹介されているビリヤード場とパチンコ屋。
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ひと気のない町並み。
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2日間を通してとにかく寒かった。
この日午前中の雁坂トンネル附近の気温は16℃。
平地に降りてきても18℃だった。
防寒対策のウィンドブレーカーをやっと脱げたのが、午後からの陽射しが出てきた下仁田近辺だけであった。

帰りに立ち寄った上野村の黒沢家住宅。
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見学者は私一人。
入場料300円を受付のお婆ちゃんに払い屋敷内を一巡して戻ると、お婆ちゃんは「いま栗の皮を剥いてるのよ」と話しかけてきた。
手元を見ると、とても売り物にはならないであろう、シジミ貝より少し大きめ程度の、どこで採集してきたのか小粒な栗がザルいっぱいに入っていて、皮を剥き終わった栗もいっぱいビニール袋に入っていた。
これを赤飯に混ぜて炊くとほんとうに美味しいのだという。
そうだろうなという気がする。
食べさせてもらえる機会はないだろうが。
それにしても、小さな栗の皮を包丁で一つ一つ剥がすのは、さぞ根気の要る作業だろう。
暇つぶしにはちょうどいいのかもしれないな。
今日は泊りかと聞くのでキャンプだと応えた。
どこで?
そこの野栗キャンプ場。
独りで?
そう。
怖くないの?
まあ、缶ビール2本も飲んで酔っぱらえば平気だね。
ふーん、でもクマが出るよ。
いや、それは勘弁してほしいな。
大丈夫よ。今年は栗が豊作だから下りてこないよ。
だったら言うなよと思ったが、なかなか面白いお婆ちゃんだ。
実は私はすでにこの間クマと遭遇しているのだが。
しかも路上で。

お婆ちゃんの話題は豊富だ。
お父さんが生きてた頃は山に入って松茸を30本から40本採ってきたという。
なんでも松茸が生えている所には独特の匂いがあってすぐに分かるのだそうな。
プーンと辺り一面匂いが立ち込めているという。
初めて聞く話である。
それが常識なのか、それともあえて誰も言わないのか。
場所は絶対秘密だ。
だが、いまはもう山には入らないそうな。
今でもまだそこには松茸が生えるのかと聞くと、今でも生えるでしょと言った。
取り手がいないとは、なんとももったいない。
家ではこんな大きな松茸を、と言って両手で示した大きさは20センチくらいか、焼酎に漬けていて息子が帰ってくるとそれを飲むんだそうな。
松茸焼酎。
どんな香りがするんだろう。
飲ませてもらえる機会もないだろうし。
ブログではちょっと紹介できないような話も聞いて、やたら明るいお婆ちゃんだったな。
閉館時間も迫ってきたことだし野栗キャンプ場に向かうことにした。
お婆ちゃん、あの調子ならこれから先、呆け老人になる心配はまずなさそうだ。
老人になっても明るく生きるってことが大事なのかもしれないな。
私の老後に明るい材料はほとんどないが。

4時前には野栗キャンプ場に到着した。
計画ではあと一ヶ所というか、もう一本カブで走りたい道があったのだが、分岐を通り過ぎてしまい、あれ、おかしいなと思っているうちに299号線近くまで戻ってしまった。
通過した湯ノ沢トンネルは工事中で片側交互通行の待ち時間が10分以上。
また引き返すのが面倒になって時間つぶしに黒沢家住宅に立ち寄ったという次第だ。
おかげで陽気なお婆ちゃんに出会えたわけだが。
前回はヒグラシの鳴き声に包まれていたキャンプ場も、この日は滝の水音が聞こえるだけで、予想通り他の利用客もいなかった。
東屋の前にカブを停め、歩いて野栗食品店へ受け付け手続きに向かった。
プロフィール

sichirin

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