道が大きくカーブを描く、その外側に

廃集落はあった。
ハイキングコースからは外れているので、あまり知られた存在ではないと思うが。

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道路に面した家屋。

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倒壊した物置。
かなり以前から廃集落になったのか。

集落内に踏み込んでいくと、

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立ち並ぶ杉の木は、樹齢百年は軽く越えていそう。

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最奥の家屋。
運搬用の橇が立てかけてある。

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害獣除けだろうか、空き缶がぐるっと囲うようにたくさん吊るしてあるが、さて、ロープの中は畑ではないようだし。
なんか中途半端な囲い様だし。
いったい何を守ろうとしているのか?
中央の大木だろうか?
大きな一斗缶までが一個、真ん中あたりにぶら下がっているのだが。
なんとも不可解。

家屋の間を入って行くと。
一瞬ギョッとして足が止まった。

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やめてくれよ、こういうの。
これからの季節、夜中の肝試しで行って来い。
懐中電灯の光の輪の中にこの光景が浮かび上がったら。
あたしゃ腰抜かすね、ぜったい。
でも、ちょっと疑問なのは、ふつう衣類を掛けるとき、前を自分に向けて掛けないか。
つまり、窓の外から見た場合、前ではなくて背中側が向いている筈なのだが。
何らかの意図があるのだろうか。
入ってくるな、見てるぞ、みたいな。

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この集落から望める光景。

夜になれば、明かり一つない闇に包まれることだろう。
もしも遠くに明かりが見付かれば、それはそれで何かしらの騒ぎになるな。
それとも、また狐火が出てたよ、などと日常のありふれた現象だったりしたかも。
勝手な想像ですが。
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帰ってから検索すると

この辺りは廃村巡りのハイキングコースとして、かなりポピュラーな存在でした。
ソロで、グループで季節を問わず、皆さん気軽に廃村を巡る散歩を楽しんでおられるご様子。
なーんだ、そうだったのか。
廃村って、その時代を封じ込めたような特有の空気の中に沈んでいて、あの雰囲気が好きって女性がいても私はたいして不思議には思わないが、一人じゃさすがに危険だからグループでってことになるんだろうけど、皆でワイワイも楽しいだろうな。
帰りは駅前の居酒屋なんかで、見てきた廃集落や廃墟を話題に打ち上げかな、やっぱし。
やるな、ぜったい。
こちとら、いっつも孤独に走り回っているもんで、パーティ組んでってのが、ちょっぴり羨ましかったりする。
とか言いながら、集団ツーリングってのが苦手だったりもするが。
それはさておき。

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行き止まりだった作業道から。

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ここが茶平の集落だろうか。
地図ではここから武士平へと続く道があるように見えるが。
分からん。

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空き家の一軒。

来た道を戻り、ダム湖沿いをまた走り。
なんやかんやで。

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やっと到達しました武士平。
車がせいぜい一台分の幅しかない、セメントの簡易舗装の道を登ってようやく探し当てたと、その時は感激したものだったのだが。
手前の家屋はまだ住人が居るのか、それとも窓を盛大に開放し空気の入れ替えといった感じは通いかも?

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奥の家屋は空き家でした。

で、武士平に至る途中の廃集落。
ここが今回一番の見所だったかも。

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行き止ま林道に迷い込むと

林の中に屹立する大岩を見た。

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例によって、私の撮影ではちっともその神秘的な異様な佇まいは伝わらないが。
下の地面を発掘すれば、古代の祭器片などが出てくる信仰の岩かもしれないし、地元の人がけっして近付かない不吉な岩かもしれない。
あるいは誰も顧みない単なる岩で、私がただ興味を惹かれただけってオチもあり得る。
眼を凝らして探してみても案内板などは見当たらないし、近付く道筋さえない。
私には藪の中に踏み込む勇気もない。
結局、カメラに収めて立ち去るしかない。

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ダムから見下ろす光景。

ダム湖畔の道を走り、片っ端から脇道に入り込んでみる。
アスファルト舗装からコンクリートの簡易舗装へと道は変わり、ついにこっから先は無理でしょ地点で終わり。
徒歩に切り替えればまだ先はあるが、当方カブなので。

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目的地に向かう途中で駅を

三つ辿ってみた。

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映画のワンシーンにでも出てきそうな駅ではないですか。
秩父といえば、秩父市街を除いて、自然と林道と日本オオカミくらいのイメージしかなかった私ですから。
何度も通いながら、今頃になってようやくその奥深さに気付かされたという、なんともおめでたい話です。

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駅前通り。
この駅には立ち食いの蕎麦屋さんがあって(麺を湯釜でちゃちゃっと茹でて、出し汁をかければ、さっと出てくるあれです)、私は天ぷら蕎麦400円を食べました。
スクーターでやってきたオヤジがエンジンかけっ放しで小さな店の背後に停め、裏口からうどんを注文し、にらむ様に立ちふさがって待ち、出てきたうどんを立ったままそそくさとすすって、あわただしく去っていきました。
いちおう細長いテーブルと椅子もあるのに。
その行動のすべてが、私には謎でした。

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乗降客相手の商売は、もはや成り立たないようです。

軽バンが一台やってきて、助手席から娘が降り立ち、自販機に駆け寄ると缶飲料を二本買い、一つを運転席の父親(でしょう、たぶん)に手渡し「じゃあね」とひとこと言い残して駅構内に去りました。
程なく列車が到着し僅かな停車時間の後、発車して行きました。
その間、父親はハンドルの上に両手と顎を預け、身を乗り出すようにしてずっと駅舎を見守っていました。
長い髪の、すらりと伸びた足にタイトな黒いパンツの娘は、父親の自慢の娘でしょうか。
鄙びた古い駅には別れのシーンがよく似合う。
カブの傍らに立ち、偶然見ていた私は、そう思いました。

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古い駅舎の建物は、木造校舎で過ごした記憶体験を、心のどこかに呼び起こすのかもしれません。

街には表通りがあり

裏通りがある。
歴史がある街ほど、どちらにも捨てがたい風情がなくてはならない。
表通りには華やかな、裏通りにはひっそりとしたそれが。

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表通りには期待どおりの高揚があり、裏通りには思いがけない郷愁がある。
そんな街なら再訪してみたくなる。

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小鹿野はそんな街だった。

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ひょっとして、自分はこの時期が来るまで、この街をお取り置きしていたのかもしれない。
だから無意識のうちに避けていた。
まさかね。
考えすぎか。
ここには元妓楼と思われる家屋も現存するそうだ。
まだ奥があったのか。
もう、小鹿野市街と書かれた標識の下を素通りできないな。
しないし。

この地域には何度か来ているが

不思議と小鹿野市街に立ち入ることはなかった。
何故だろう。
小鹿野市街という案内標識を見ながら、いつも無視するように299へと素通りして、ハンドルを向けることはなかった。
自分の中では、畑や更地の合間に商店などが歯抜けのように建っていて見るべきところもない田舎町というイメージが出来上がっていて、なんとなく避けていた。
『自らの不明を恥じる』
簡潔にして潔い言葉を自分に進呈するしかない。

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『高遠』に求めて得られなかったものがここにあるとは。

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小鹿野が地域を挙げてライダー歓迎の政策を打ち出していることは当然知ってはいたが、この街へ来てみて初めてその本質が分かった気がする。

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バイク専用駐輪場。

活気があるというほどではないにしても、高遠のように隠しようもない衰退の空気は、ここには流れてはいなかった。

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この通りにあるのは風情であり、なす術のない諦めの気配が漂う街角ではなかった。

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この地域へ来ると、どうしても

気になる場所があった。

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どっからきたの。
ここは初めて。
よーく見てって。
ここは綺麗なとこだから。
ここは表参道だから。

お婆ちゃんの初っ端の挨拶がこれだった。
ここは表参道だから。
この言葉に、気の強そうなお婆ちゃんの内に宿る複雑な心境、悲哀が見て取れた。
神社までの車道が完成しロープウェイが廃止され、かつての表参道は突き放された。

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この一角だけの独立した経営は成り立つ筈もなく。

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それでも、お婆ちゃんの中では、ここは今でも表参道なのだ。

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この日、お婆ちゃんは怒っていた。
何でも店の前の植木を盗まれたそうな。
それも2回続けて。
心が萎えるような悲しい話だが、現実とはこういう事です。

お婆ちゃんの張り詰めた心の糸がぷつんと切れたとき、この店は戸を締め切り、廃墟のような一角が出来上がってしまうだろう。
それでも、お婆ちゃん頑張ってねなどと、お気軽な言葉を私は言えない。

何も貢献できない私だが、また来てもいいですか?

この頃は職場でも暇な時間に

地図帳を見ていることが多くなった。
見方も変わった。
ツーリングのルート探しや確認などではなく、山奥に伸びる道筋の行き着く周辺を仔細に見ている。
興味深い地名があった。
『武士平』
破線の細い筋がそこまでの道だろうか。
道も定かでない山奥に存在するであろう集落、武士平。
カブ散歩魂が活性化し疼いた。

秩父、贄川宿の酒屋さんか雑貨屋さんか、営業しているのかいないのか、ガラス戸越しに薄暗い店内を覗いてもどうにも判然としない店の店頭にて。

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この日はスッパカブ君、前カゴデビューの日でもある。
冬のハンドルカバー同様、そんなの絶対嫌だとか死んでも嫌だとか言う人もいるだろうが、一度使うともう手放せない便利さは共通だ。
純正のフロントキャリアを購入し、近所のホムセンで小ぶりなメッシュの前カゴを見つけて取り付けた。
中には帽子、ポケットティッシュ、タオル地のハンカチ、缶ビールが6本入る保冷バッグなど、盗られることもないようなものばかり入れてネットで覆っている。
道の駅などで入手した周辺マップやパンフレットなど折りたたむことなく丸めて放り込んでおける。
飲み干したペットボトルだって、捨てるところがなければとりあえず放り込んでおける。
こんなことなら、もっと早く付ければよかった。

林道は、はるか先まで伸びている。
行くか戻るか思案中のカブと私。

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開けた台地に佇む

天空の里。

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右端の瓦屋根の建物はお寺さんだ。
無住である。
古い宗教はこの地を見限り、変わって新しい宗教が入り込む。
だが天空の里は昔も今もこの地にあり続ける。
願わくばこの景観の変わらざることを。

落石が散らばる林道を抜け、たどり着いた集落は空き家が目立った。

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裏庭で何かを燃やしている人がいたので、目立つ行動は控えた。
もう少し覗いてみたかったが。
寂れた集落内をカメラ片手に物珍しげに歩き回り、空き家となった建物を撮り漁る男など、住民の誰にも歓迎されることはないだろうから。

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地域が少し離れるだけで(現代の感覚でだが)

家屋の建築様式に大きな特徴の違いがあった。

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ここには先客がいて、横浜ナンバーの大型バイクが路傍に一台止まっており、コンデジを持った年配ライダーが庭先に立ち入り、家人の中年女性からなにやら説明を受けながら熱心に軒下を見上げながら撮影していた。
道端からの一枚に留めた私は単なる物好きにすぎないが、彼はあの執着ぶりからすると建築関係の仕事を生業にしている人かもしれない。
あるいは私以上の物好きかも。

こちらは廃屋だ。

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この地域の伝統家屋のようだ。

廃校。

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道を隔てた向かいの涸れたプール。

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こんな山の中にあって、もったいない施設である。
広い校庭に芝生を植え、校舎を宿泊できるように改修すればサッカー合宿の利用団体だってあるだろうし夏場はプールだって活用できるだろう。
芝生の手入れなんかは、それこそ有り余る老人力のなかばボランティアで、老人だってやりがいを感じてくれるかもしれない。
どうなんでしょう?
それはそれで実際やるとなるといろいろと問題がありまして、なんて役人は言うんだろうなあ。

なんか怪しいのである。

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全国から信者が集まってくるのか、集まってきていたのか。
神社の建物本体には近寄らないことにした。

ここも怪しいのである。

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近世、宗教で救われた人間より、宗教対立あるいは宗教戦争で殺害された人間のほうが遥かに多い、らしい。
古代から続く八百万の神々以外、日本人は関わらないほうが無難なような気がするが。

さて、どっちへ行くべきか。

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